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都内でひっそりと生きる IT エンジニアの個人ブログです

本谷 有希子さんの「ぬるい毒」を読んだ感想

読んだ人前提での感想を書くので、まだ読んでない人は原作を読んでからのほうがよいです。

作品紹介や、どんな登場人物がいるか、などは他の記事にお任せ。

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ただ単にこの作品を通して、私の感想を書いていきます。

作品に対して印象的だったところ

  • 感情の起伏や一方で冷静に第三者として自分を表現する熱量の差が読ませるための引力として面白かった
  • いわゆる「一般的な作品」は人と人の繋がりがあって、その関わり合いの展開で引き込んだりするものだけど、本作では感情的に振る舞う自分と、心の奥底に秘める事故の感情との対話で、物語が進んでいる

  • 最初読んでいるうちは「ドラマかな?」とか安易な受け取りをしてしまったけど、読んでいくうちに主人公自身がそもそも周りを眼中に入れていないということが分かってくる

  • 作品に出てくる主人公以外の登場人物はあくまでスパイスでしかなく、そんなに「登場人物然」としていなかったというのが特徴的

作品を読んだあとの自分なりの考え

(他の感想記事なども踏まえ)

タイトルを自分なりに無理やり結びつけてみようかなと思ったので、つらつらと書きます。

  • この作品は「主人公(由理)が過去の自分との決別」っていう感想を持っている人に同意できる点はある
  • しかし、主人公は人から笑われることだったり、欺かれることに対して、過去劇薬だと捉えていたが、その経験をしてみると「ちょうどいいか、少し冷めているか」くらいの刺激だったのかな、と思う
  • それを受け取めたことで、自分の人生にハリが出るっていうのは「毒薬変じて薬となりける」というような前向きな話だったのかなと。
  • そしてまた主人公は一人で凛と生き続けていくんだろう

とはいえ、ここまで「自分に対して視線を向け続けられる」人っていうのは居るのは分かるとして、自分はここまで考え抜けるのかな〜、自分で自分に夢中になれるのは凄い主人公だなぁ、と思った。

以上。